世界観 2017/04/08 ヴォイニッチ 言語と文語 おおよそはじめまして、またはお久しぶりで。 『はじまりはじまり』から『おしまい』まで、 パンドラ童話集のあれやこれやに関する情報を収集している私、名前はヴォイニッチ。 本日皆様にお伝えするのは、『言語と文語』―言語と文語 まずこれから語るにあたり、言語と文語の違いを挙げておこう。 人や辞書によって解説に違いはあると思うが、とりあえずこのコラム(?)中においては、 言語=話し言葉、会話、音声 文語=書き言葉、文章、文字 ということにしてもらいたい。―言語 パンドラワールドの言語は、ある時代を境に統一されている。 それは御伽期。 それ以前は言語は国や地方によってバラバラで、言語による意思の疎通は困難を極めた。 しかし御伽期で活躍したある少女の願いによって、言語は統一を果たされる。 言語統一に用いられた手段は『カミに世界のあり方を願うこと』。 少女は『カミの欠片(カムカ)』の力を借り、その身を代償とすることで世界の言語を1つに結んだのだ。 統一された言語を『新言語』や『統一言語』と呼称しよう。 それに対し、それまでに使われていた何百種類もの言語は『古代語』としてひとくくりにされ、使われなくなっていった。 ただ、方言や慣用句、または単語として新言語に残った例もある。 ―文語 言語が統一された後、文語もまた少しづつではあったが統一されていく。 ただし、文語そのものはカミによって統一されたわけではなく、人の手によって行われていった。 それは、新言語と古代語の間における発音や単語の違いを埋めることが主な目的であった。 しかし、人の手によって行われた新文語とでもいおうものは、新言語と同じように1つにまとまることはなかった。 なぜなら多くの新文語は、元々その地域で使われていた古代語を下地に作られたものだったからである。 そのため元の言語圏を中心としたいくつかの主流文語や、そこから枝分かれした派生文語が存在した。 そしてそれらの文語は時代によって形や勢力圏を変えたとしても、歴史の終わりまで全てが1つになることはなかった。―個語、特語 さて、言語が統一され、文語もある程度のまとまりに変化していく中、一般的でない言語や文語が生まれたりもする。 それは、個別の言葉で個語とか、特別(特殊)な言葉で特語、などと呼ばれたりもする。 典型的な例でいうと、暗号文などがそれらに当たる。 統一されたが故に、本来は知られたくない、知られなかった言葉が理解されるようになってしまったため、秘匿用の文章や暗号が考案されたのだ。 国などの公的機関、 研究記録、 地下組織、 こういったところで特に使用された。 また、別の典型では、呪文などもそれに当たる。 統一言語を使用した魔術ももちろんあるが、古代語や独自の言語体系で作られた呪文はかなりの数になる。 力の強い魔法使いや、秘密主義的な錬金術師などは特に、個語や特語を用いることが多かった。 これは、魔法の多くが世界のシステムを利用することに起因する。 世界の視点からみると、人間とはシステムの1種類でしかなく、人間の言葉の統一とはシステムを一本化したようなものといえる。 しかし、世界には人間以外にもシステムがあり、それらは個別に適した言語でプログラムが組まれている。 つまり魔法とは、人間というシステムが別のシステムを利用するようなものである。 であれば、利用するシステムにより近い言語の方が、早く、効率よく動作するわけである。 間に通訳を挟んで会話するよりも、自分がいくつかの言語を使用できるほうがコミュニケーションをとりやすいのと同じようなものである。―おわりに 言葉の違いから生まれた悲劇を亡くすため、かつて少女は言語の統一を願った。 しかし言語は統一されても悲劇はなくならなかった。 それは人のせいか、カミのせいか、はたまた世界のせいか… 私程度のモノにはなんとも答えがたい問題であるが、いつかその答えが出るときに、少女の願いは叶うのかもしれない。 分かり合えるということが幸せなことか、不幸なことかは置いておくとして… では、本日はこのあたりで。 それでは。 PR