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Project-Pandora公式ブログ

Project-Pandoraの公式ブログ。引っ越してきました。

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ヴォイニッチ ~空~

『はじまりはじまり』から『おしまい』まで、
 パンドラ童話集のあれやこれやに関する情報を収集している私、名前はヴォイニッチ。

 本日ご紹介するのは、『空』について。


―パンドラ世界の空事情

 パンドラワールドにおいて『空』とは、地上より上からはじまり、みなさんの世界でいうところの宇宙と呼ばれる領域までの間を指す。
 そんな空は、地上から一般的な山脈程度の高さ…または雲が発生するあたりを境に、下と上で大きな違いがあらわれる。

 空の上方には目に見えない力…魔力や気などとよばれているエネルギーの流れが、渦潮のように流れ、ぶつかり続けている。
 この流れにより発生する強風や衝撃は、ただそれだけで下手な魔法よりも強い力をもっており、雷が落ちる原因の1つでもある。
 この力を超えられるものはほとんどなく、生き物が空へ羽ばたくための、または宇宙へと至るための大きな障害となっているのは間違いない。

 が、この魔力と風は別の側面ももっている。
 空へと登ってきた水蒸気や塵などがこのエネルギーと反応して雲ができているのだ。
 雲はほどよい雨を降らしたり、ほうっておけば広がり続ける水滴を集めることで日光を地上に送ったり、逆に適度な日陰を提供する。
 そして風が雲を運ぶことで、世界のあちこちに雨と日光と日陰がいったりきたりするわけだ。

 このように、非常に重要な役割を持つエネルギー層。
 前述の通り、一緒くたに語れば上も下も空ではあるが、よりわけて語ることもできる。

 エネルギー層溢れる上層を『高空』、
 それよりも下が『低空』である。


―空と生き物

 基本的に、高空は生き物が住めるような環境ではない。
 しかし例外はある。
 例えば、古い時代において神と呼ばれたものや、その眷属。
 彼らはその力をもって自由に空と地上を行き来したし、場合によっては空の力を利用することもあった。
 天気や空にまつわる神や、いわゆる天使と呼ばれるようなモノたちが有名どころである。

 高空に含まれる範囲の中でも、比較的穏やかな流れを保っている場所や時期を狙えば、鳥族や猫族などの獣人族も高空に姿をみることもある。
 ただしこの場合は住むではなく、敵の少ない移動ルートとしての一時的な活用がほとんである。
 移動しているのは確かだが、移動の途中を発見されない渡り鳥などが代表例。
 また、人間族の中でも、古い時代の魔法使いには高空を飛べるものがいたという。

 そしてそれらの姿は、やがて御伽噺と同じような扱いへと…
 発見も再現もできない姿へとかわっていくことになる。



―人間、空への挑戦

 時代が下がるにつれ、人は空から遠のいた。
 魔力も、それにかわる技術ももたない人間は、空に辿り着く力を失っていたからだ。
 だが、憧れは残り続けた。
 ある者は地底を、またある者は深海を目指したように、空を目指すものものがいた。

 彼らは空へ至るための道を追い求めた。
 失われた空を飛ぶ魔法を再度編み出そうとした。
 空を飛ぶ乗物を生み出し改良し続けた。
 雲を突き抜けるほど高い山をその足で登り続けた。

 どの道も、楽な道ではなかった。

 失われた技術は、みつけるだけで人生が尽きることもある。
 よしんば見つかっても、技術を生かすだけの魔力がないことも多々あった。

 乗物の多くは、地を離れることすらできなかった。
 離れたとしても、多くが再び地面に引き戻され、そして瓦礫となった。

 地面から伸びている道を歩くだけとはいえ、山登は時に命をかける冒険となる。
 空と風と魔力だけではなく、獣に大地に飢えにと、障害が尽きることはなかった。

 それでも、彼らは諦めなかった。

『空へ』

 研究と研鑽は人を超え、時代を超え、繋がり続けた。
 1人でだめなら10人が、
 10人でダメなら100人が、
 そして、時も同じ。

 それらがやがて実を結ぶ時が来る。
 それは歴史の後半、
 一度は滅びかけた文明が力を取り戻した復興期より後、
 空に『飛行船』や『飛空挺』とよばれる乗物が行き交う時代がやってくるのだった。



―空の乗物

 さてここで、空を行く乗物で代表的なものをあげよう。

 1、気球
 2、飛行船・飛空挺
 3、飛行機

 どれも、みなさんの世界にあるものと基本はそう変わらない。
 ただし皆さんの世界にある『ジェット機』や『ロケット』などと呼ばれるものはこの世界には存在しない。 
 理由は1つ。
 安定して飛べるのは『低空』に限られたからだ。

 後世でも高空を飛べるような乗物は基本的には完成せず、高度1万メートルもの上空を飛ぶ必要がある飛行機などは空想の物でしかなかった。
 パンドラ世界で飛行機と呼ばれる乗物は、低空を飛ぶ小型の(大きくても10人程度)の指し、速度や戦力としての研究はされたが大型化はされなかった。

 かわりに、気球、飛行船、飛空挺は発展を続けていった。
 ガスを利用した単純なものだけではなく、魔力を利用した推進装置を取り付けたものや、居住区や商店などまで備わった巨大なものなど様々なものが作られた。

 それらに利用されたのは、悩まされ続けた高空のエネルギー。
 地上よりも多くのむき出しのまま放置されたエネルギーに目をつけたのだ。

 なお、この考えを利用した道具が『神魔期前』頃には誕生している。
 とある国の姫が作り出したソレは『伝書箱』などと呼ばれたものだ。
 気球などと比べるとはるかに小さい、名前の通り手で持てる程度の箱だったが、それは確かに空を飛んだ。
 箱に取り付けられた羽状の部品が、空の魔力と風を原動力に羽ばたいたのだ。
 そしてこの箱は郵便機能の一部として利用され続けた。



―空の整理

 地上を行くよりも障害物が少なく、海を行くよりも抵抗の少ない空は、移動に適した場所だった。
 だが、それ故に衝突も多かった。
 特に伝書箱が飛空挺にぶつかり、送ったはずの郵便物が届かない…なんてことが、空の交通の黎明期には良くおきた。
 そこで、世界の共通ルールのようなもの生まれ、そこから新しい空の区分が生まれた。

 元々『低空』とよばれていた空を、さらに二つにわけたのだ。

 高空からエネルギーを供給しなければ維持が難しい飛行船や飛空挺が行き交う、低空の中でも上方を『中空』と定義した。
 そしてその下…中空の下をもともとの『低空』という呼び方で呼び、そこを伝書箱などが行き交った。

 飛行機はどちらの中空にも低空にも見られたが、その理由は飛行機の使われ方の1つに『護衛』があったからだ。
 海で言えば、巡洋艦に護衛艦が共に移動するような、
 陸で言えば、馬車に騎乗した兵士が随伴するような、そんな感じである。
 


―終わりに

 さて、そろそろ本日の締めへと入ろうと思ったがそのまえに、ウソか本当か、空にまつわる話しをいくつか。

 例えば、空にあるという神殿の話し。
 この神殿には『語戦乙女(かたりぐさおとめ)』などと呼ばれる者がいて、地上におりては戦士の魂を集めているのだという。

 また例えば、満月の空を猫と共に歩く少年の話し。
 猫族、または猫と歩く子供の姿は、満月の夜に聞く定番の話である。

 雲の神様と涙の雨を降らす女の子の話もある。

 空…というよりは宇宙に近いが、世界の果ての扉の話も有名である。

 こうしてまとめている瞬間にも、新しい空にまつわる話が生まれているのかもしれない。
 そしてそれはきっと、人間が空に抱いた憧れのせいに違いない。

 それでは本日はこんなところで。
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