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Project-Pandora公式ブログ

Project-Pandoraの公式ブログ。引っ越してきました。

ヴォイニッチ:食糧事情



 おおよそはじめまして、またはお久しぶりで。

 『はじまりはじまり』から『おしまい』まで、
 パンドラ童話集のあれやこれやに関する情報を収集している私、名前はヴォイニッチ。

 本日ご紹介するのは、『食糧事情』について。


―何を食べる?

 あなたの世界がそうであるように、パンドラワールドの住人にも地域差や個人差がある。
 主食でいえば、麺、パン、米、イモ類、などがあがるだろう。
 おかずや汁物になれば無数とあり、それらの解説は専門書に任せるべきだろう。

 なので、カレーやシチュー、ハンバーグ、からあげ、ボルシチ、ラーメン、たくあん…
 おおざっぱに説明させてもらう なら「あなたが想像するような料理は世界のどこかにある」と思って頂いて構わない。
 ただ、それらの料理に使われる材料や調理手順、料理名などはあなたの世界とは違うこともある。

 あなたの世界に比べれば少しばかりおかしなこともある世界の人間達も人間であるということだ。



―食糧供給の方法

 さて、そんな人間達はどうやって食料を手に入れるのか?
 主に以下の4種になるだろう。
 【農耕】【畜産・養殖】【狩猟・漁業・採取】【魔工】だ。

 農耕は、田畑を耕し農作物を得るもの。
 こちらの世界の人間は、規模はあまり大きくなかったとはいえ、比較的早い段階からこれを行っていた。
 それは、彼らに農耕の技術や知識を教えた、または労働を任 せた神などがいたからだ。
 自分達の食料は自分達で作れるように、または貢物として神が欲する食物を作れるように仕込まれたのだ。
 その技術と知識は神々が姿を消しても引継ぎ育まれ、人々の生活の礎となった。

 畜産・養殖は、動物や魚などの生き物を自分達で育て、その肉などを得るもの。
 こちらも早い段階から行っていた。
 理由は、農耕とほぼ同じ。
 
 狩猟・漁業・採取は、肉、魚、食物などを自然から手に入れるもの。
 興味深いのは、この方法(とくに狩猟)による食料獲得の多くは、嗜好品や高級品目的となることが多いこと。
 理由は時代によって異なるが、例えば時代の始まり頃、人間は狩をする必要性があまりなかった。
 なぜなら…そう、神からす でに農耕や畜産を与えられていたから。
 ある程度の集団であればなんらかの手段で食料は得られることが多く、供給が安定しない手法は調達の主役ではなかった。
 が、野生でしか取れない食材などもまた多く、それらを欲す者は一定数いたため、これらの手法がなくなるということもまたなかった。

 最後に魔工だが、これは魔法や錬金術、科学や工学、それらの融合した魔工学などにより生み出されるモノだ。
 例えば、1つの食材を元に2つの食材を生み出す技術、
 本来食べ物としては不適切な物質を組み替え、食料に変換する技術、
 食事をしなくとも生きるのに必要なエネルギーを得るための技術、
 そういったものがこの世界にはある。

 時代によって比重に差はあるが 、この世界ではこれらの手段によって食事(またはエネルギー)が供給されている。


―調理と加工品

 そんな風に供給される食料は、人の手を経て調理される。
 焼いたり煮たり蒸したり混ぜたり…中には魔法を使ってよくわからない何かを生み出してしまうこともある。
 さてそんな調理の中から、加工品に分類される食べ物を少しご紹介しよう。

 加工品の代表といえば、保存食だろう。
 冬を越すためだったり、離れた土地に運ぶためだったり理由は様々だが、日持ちするように処理されたものだ。
 主に乾燥させる調理法を用いられるが、缶詰のように腐敗を防止する入れ物につめたものや、ハムやソーセージ・チーズなど燻製したもの、魔法の類で時間経過を著しく遅くし たモノなどもある。

 次に携帯食。
 見た目や味よりも、小型化かつ栄養摂取を目的とされており、冒険者や兵士などが愛用した。
 煮詰めて水分を飛ばし小さくしたものや、栄養素を取り出して丸薬のようにしたものなど様々だ。
 目的が『携帯すること』なので分類をわけたが、保存食の技術と合わせて使われることも多い。

 最後に機能食。
 これは能力食とか儀式食、魔法食や媒介食、などなど、もっと細かい分類や別の名前で紹介されることもある。
 いずれにしろこれらに分類される食品は、その目的が『栄養摂取』ではないというのが特徴だ。
 例えば、食べることにより魔力や筋力が上昇するもの、
 服用することで体力が増加したり、自然治癒力が高まるもの、
 食べることで一時的に精霊とよばれるモノの力を借りることができるもの、
 そういった『食べることによって起きる機能の発現』を目的として作られている。
 もちろん、中には食べるとそうなると『思いこまれてる』だけの迷信めいたものもあるのだが…


―『禁断』の『食べる』

 さて、紹介するかどうかいささか悩んだが、あえて触れることとしよう。
 この世界において、どちらかといえば嫌悪する者の方が多い、またははっきりと多い食材に関して…

 まずは『魔物食』。
 そもそも動物と魔物は何が違うのかというのは他に任せるとして、この世界で魔物を食べるのはポピュラーとはいえない。
 あなたの世界でいうところのゲテモノ食い、あるいは珍味をイメージ してもらうのがいいだろうか…
 例えばあなたの世界にも、虫やその卵、あるいはカエルやヘビなどを食べる地域や其の調理法などがあるだろう。
 が、わざわざ他に食べるものがあるのに好んで食べるかといわれると、それは少数といえる。
 こちらの世界で魔物を食べるというのはその感覚に似ている。
 ただし、魔物によってはその肉が保存に適していたり、あるいは手を加えることで携帯に便利だったり、魔力を摂取できたりと加工品として優秀な場合がある。
 そのため、冒険者や魔法使いなどの類は、一般人に比べて魔物食への抵抗が少ないことも多い。

 そんな魔物食よりもはっきりと嫌悪を示されるのが『人肉食』である。
 食料として用いられるのは、通常の食卓に並べる ようとなることはほとんどなく、特殊な状況下であることがほとんどだ。
 例えば、閉じ込められ飢え死にしそうな時など、緊急避難的なもの。
 また例えば、部族の儀式として英雄の肉を取り込むことでその力を得るためだったり、
 あとはまぁ、人肉を食べることに幸福を感じるためだったり…
 
 魔物や人肉以外だと、土だとか宝石だとかを食べるなどもある。
 これは物質に宿るエネルギーや栄養素を得ようという試みから行われたもので、時代によっては強い嫌悪があった。
 だが後期では、最初の方に触れた『魔工』により、ふりかけのようにして食べる土がうまれたり、宝石からエネルギーだけとりだして食材に移した果物ができたりと、食材や調理法が広まるにつれ、食卓での権 利を獲得していった。
 もちろん、普通の食材に比べれば抵抗を持つ人がいたのは確かだが。


―終わりに

 人は生きるために食べるのか、食べるために生きるのか?
 そんな疑問を浮かべた学者もいた。
 多くの者がその疑問にそれぞれの答えを出したが、残念ながらすべての者が納得する答えは生まれていない。
 しかし今日も、どこかで食料は生まれ、料理はできあがる。

 だとしたらアナタは、その料理が冷める前においしく頂くことを選ぶだろうか?
 それとも、料理が冷めようとも答えを求めるだろうか?

 そしてもし、あなたが『食べる』ということを必要としない人だったとしたら…
 はたして人はなんのために生きると思うか、ぜひご意見をお伺いしたい 。

 では、本日はこのあたりで。
 それでは。
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