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Project-Pandora公式ブログ

Project-Pandoraの公式ブログ。引っ越してきました。

スイコの幻想便り 其の一

ぬし様方、初会でありんす。

あちきはスイコ、ますたーに命じられてお目見えしんす絡繰人形…「どーる」でござりんす。

あちきの仕事は『幻想推古』を冠する…通称和パンドラと呼ばれるものでありんすが…物語をぬし様方に御紹介すること。

他の物語ではお目見えすることはありんせんが、どうぞ末長うよろしくお願いいたしんす。



さて、改めて此度の物語の概要を……


―淡く、儚く、流れ逝け

【幻想推古 ~花鳥風月夜話~】

 日は昇り月は沈み、人は生まれ死んでいく。
 木々は揺れ、水は廻り、鳥は羽ばたく。
 時は刻み、本は捲れ、夢は覚める。

 おおよそアナタの世界と変わらぬこの世だが、違うといえば幾許か…
 妖しが笑い、魔は法と成り、神は在る。

 そんな世界の話のいくつかを、
 まとめて私はこう呼ぼう。

 ―幻想推古 花鳥風月夜話

 これは、今は昔の短編集。



【花鳥 ―桜の元に眠れ死に体】

 ある時、ある所、ある折のこと、
 そこには『サクラ』という妖怪と、『桜』という木があった。
 『サクラ』は『桜』の妖しで、気まぐれに人里を襲ってはその長い命を慰めていた。
 しかしある時、鳥がいった。

「お前さん、そんなに暇なら人でも育ててみたらよろしかろう」

 妖しは気まぐれにそれを承諾し、
 それは、楔と成った。

「あぁ…今年も桜の元に死に体が増えるのか…」

 これは、花と鳥と人と妖しの物語。



【風月 ―魂籠風鈴】

 月の綺麗な夜のことだった。
 風も少なく蒸し暑い夜だった。

「せめて、風鈴でも鳴ってくれればなぁ」
 
 ある男がそんなことを思った時だった。

「いらっしゃい。何をお探しで?」

 気が付けば、見慣れぬ店と女主人。
 怪しげな店ながらも、あるのは目移りするほどの逸品ばかり。
 そんな店で男が選んだは、

「道具の名は魂籠風鈴。虫でも花でもお好きな魂を閉じ籠めてご使用下さい」

 こうして男の家に鈴が鳴る。
 虫を籠めれば虫の音が、草木を籠めればざわめきが―
 そして男は店主との約束を違え、人の魂を籠めてしまう。


と、二つの物語をお楽しみいただけんす。

あちきもお稽古場にお邪魔していんすが、どちらの物語も和気藹々とお稽古に励んでいんした。
そちの様子はお稽古場紹介の便りでご確認下さんし。


さて、本日はここらで失礼いたしんす。

またぬし様方にお目見えできんすように……
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