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Project-Pandora公式ブログ

Project-Pandoraの公式ブログ。引っ越してきました。

ヴォイニッチ 言語と文語

おおよそはじめまして、またはお久しぶりで。

 『はじまりはじまり』から『おしまい』まで、
 パンドラ童話集のあれやこれやに関する情報を収集している私、名前はヴォイニッチ
 本日皆様にお伝えするのは、『言語と文語』


―言語と文語

 まずこれから語るにあたり、言語と文語の違いを挙げておこう。
 人や辞書によって解説に違いはあると思うが、とりあえずこのコラム(?)中においては、

 言語=話し言葉、会話、音声
 文語=書き言葉、文章、文字

 ということにしてもらいたい。



―言語

 パンドラワールドの言語は、ある時代を境に統一されている。
 それは御伽期。

 それ以前は言語は国や地方によってバラバラで、言語による意思の疎通は困難を極めた。
 しかし御伽期で活躍したある少女の願いによって、言語は統一を果たされる。

 言語統一に用いられた手段は『カミに世界のあり方を願うこと』。
 少女は『カミの欠片(カムカ)』の力を借り、その身を代償とすることで世界の言語を1つに結んだのだ。

 統一された言語を『新言語』や『統一言語』と呼称しよう。
 それに対し、それまでに使われていた何百種類もの言語は『古代語』としてひとくくりにされ、使われなくなっていった。

 ただ、方言や慣用句、または単語として新言語に残った例もある。
 


―文語

 言語が統一された後、文語もまた少しづつではあったが統一されていく。
 ただし、文語そのものはカミによって統一されたわけではなく、人の手によって行われていった。
 それは、新言語と古代語の間における発音や単語の違いを埋めることが主な目的であった。

 しかし、人の手によって行われた新文語とでもいおうものは、新言語と同じように1つにまとまることはなかった。
 なぜなら多くの新文語は、元々その地域で使われていた古代語を下地に作られたものだったからである。
 そのため元の言語圏を中心としたいくつかの主流文語や、そこから枝分かれした派生文語が存在した。
 そしてそれらの文語は時代によって形や勢力圏を変えたとしても、歴史の終わりまで全てが1つになることはなかった。



―個語、特語 

 さて、言語が統一され、文語もある程度のまとまりに変化していく中、一般的でない言語や文語が生まれたりもする。
 それは、個別の言葉で個語とか、特別(特殊)な言葉で特語、などと呼ばれたりもする。

 典型的な例でいうと、暗号文などがそれらに当たる。
 統一されたが故に、本来は知られたくない、知られなかった言葉が理解されるようになってしまったため、秘匿用の文章や暗号が考案されたのだ。
 国などの公的機関、
 研究記録、
 地下組織、
 こういったところで特に使用された。

 また、別の典型では、呪文などもそれに当たる。
 統一言語を使用した魔術ももちろんあるが、古代語や独自の言語体系で作られた呪文はかなりの数になる。
 力の強い魔法使いや、秘密主義的な錬金術師などは特に、個語や特語を用いることが多かった。
 これは、魔法の多くが世界のシステムを利用することに起因する。
 世界の視点からみると、人間とはシステムの1種類でしかなく、人間の言葉の統一とはシステムを一本化したようなものといえる。
 しかし、世界には人間以外にもシステムがあり、それらは個別に適した言語でプログラムが組まれている。
 つまり魔法とは、人間というシステムが別のシステムを利用するようなものである。
 であれば、利用するシステムにより近い言語の方が、早く、効率よく動作するわけである。
 間に通訳を挟んで会話するよりも、自分がいくつかの言語を使用できるほうがコミュニケーションをとりやすいのと同じようなものである。



―おわりに

 言葉の違いから生まれた悲劇を亡くすため、かつて少女は言語の統一を願った。
 しかし言語は統一されても悲劇はなくならなかった。
 それは人のせいか、カミのせいか、はたまた世界のせいか…

 私程度のモノにはなんとも答えがたい問題であるが、いつかその答えが出るときに、少女の願いは叶うのかもしれない。
 分かり合えるということが幸せなことか、不幸なことかは置いておくとして…

 では、本日はこのあたりで。
 それでは。
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ヴォイニッチ:食糧事情



 おおよそはじめまして、またはお久しぶりで。

 『はじまりはじまり』から『おしまい』まで、
 パンドラ童話集のあれやこれやに関する情報を収集している私、名前はヴォイニッチ。

 本日ご紹介するのは、『食糧事情』について。


―何を食べる?

 あなたの世界がそうであるように、パンドラワールドの住人にも地域差や個人差がある。
 主食でいえば、麺、パン、米、イモ類、などがあがるだろう。
 おかずや汁物になれば無数とあり、それらの解説は専門書に任せるべきだろう。

 なので、カレーやシチュー、ハンバーグ、からあげ、ボルシチ、ラーメン、たくあん…
 おおざっぱに説明させてもらう なら「あなたが想像するような料理は世界のどこかにある」と思って頂いて構わない。
 ただ、それらの料理に使われる材料や調理手順、料理名などはあなたの世界とは違うこともある。

 あなたの世界に比べれば少しばかりおかしなこともある世界の人間達も人間であるということだ。



―食糧供給の方法

 さて、そんな人間達はどうやって食料を手に入れるのか?
 主に以下の4種になるだろう。
 【農耕】【畜産・養殖】【狩猟・漁業・採取】【魔工】だ。

 農耕は、田畑を耕し農作物を得るもの。
 こちらの世界の人間は、規模はあまり大きくなかったとはいえ、比較的早い段階からこれを行っていた。
 それは、彼らに農耕の技術や知識を教えた、または労働を任 せた神などがいたからだ。
 自分達の食料は自分達で作れるように、または貢物として神が欲する食物を作れるように仕込まれたのだ。
 その技術と知識は神々が姿を消しても引継ぎ育まれ、人々の生活の礎となった。

 畜産・養殖は、動物や魚などの生き物を自分達で育て、その肉などを得るもの。
 こちらも早い段階から行っていた。
 理由は、農耕とほぼ同じ。
 
 狩猟・漁業・採取は、肉、魚、食物などを自然から手に入れるもの。
 興味深いのは、この方法(とくに狩猟)による食料獲得の多くは、嗜好品や高級品目的となることが多いこと。
 理由は時代によって異なるが、例えば時代の始まり頃、人間は狩をする必要性があまりなかった。
 なぜなら…そう、神からす でに農耕や畜産を与えられていたから。
 ある程度の集団であればなんらかの手段で食料は得られることが多く、供給が安定しない手法は調達の主役ではなかった。
 が、野生でしか取れない食材などもまた多く、それらを欲す者は一定数いたため、これらの手法がなくなるということもまたなかった。

 最後に魔工だが、これは魔法や錬金術、科学や工学、それらの融合した魔工学などにより生み出されるモノだ。
 例えば、1つの食材を元に2つの食材を生み出す技術、
 本来食べ物としては不適切な物質を組み替え、食料に変換する技術、
 食事をしなくとも生きるのに必要なエネルギーを得るための技術、
 そういったものがこの世界にはある。

 時代によって比重に差はあるが 、この世界ではこれらの手段によって食事(またはエネルギー)が供給されている。


―調理と加工品

 そんな風に供給される食料は、人の手を経て調理される。
 焼いたり煮たり蒸したり混ぜたり…中には魔法を使ってよくわからない何かを生み出してしまうこともある。
 さてそんな調理の中から、加工品に分類される食べ物を少しご紹介しよう。

 加工品の代表といえば、保存食だろう。
 冬を越すためだったり、離れた土地に運ぶためだったり理由は様々だが、日持ちするように処理されたものだ。
 主に乾燥させる調理法を用いられるが、缶詰のように腐敗を防止する入れ物につめたものや、ハムやソーセージ・チーズなど燻製したもの、魔法の類で時間経過を著しく遅くし たモノなどもある。

 次に携帯食。
 見た目や味よりも、小型化かつ栄養摂取を目的とされており、冒険者や兵士などが愛用した。
 煮詰めて水分を飛ばし小さくしたものや、栄養素を取り出して丸薬のようにしたものなど様々だ。
 目的が『携帯すること』なので分類をわけたが、保存食の技術と合わせて使われることも多い。

 最後に機能食。
 これは能力食とか儀式食、魔法食や媒介食、などなど、もっと細かい分類や別の名前で紹介されることもある。
 いずれにしろこれらに分類される食品は、その目的が『栄養摂取』ではないというのが特徴だ。
 例えば、食べることにより魔力や筋力が上昇するもの、
 服用することで体力が増加したり、自然治癒力が高まるもの、
 食べることで一時的に精霊とよばれるモノの力を借りることができるもの、
 そういった『食べることによって起きる機能の発現』を目的として作られている。
 もちろん、中には食べるとそうなると『思いこまれてる』だけの迷信めいたものもあるのだが…


―『禁断』の『食べる』

 さて、紹介するかどうかいささか悩んだが、あえて触れることとしよう。
 この世界において、どちらかといえば嫌悪する者の方が多い、またははっきりと多い食材に関して…

 まずは『魔物食』。
 そもそも動物と魔物は何が違うのかというのは他に任せるとして、この世界で魔物を食べるのはポピュラーとはいえない。
 あなたの世界でいうところのゲテモノ食い、あるいは珍味をイメージ してもらうのがいいだろうか…
 例えばあなたの世界にも、虫やその卵、あるいはカエルやヘビなどを食べる地域や其の調理法などがあるだろう。
 が、わざわざ他に食べるものがあるのに好んで食べるかといわれると、それは少数といえる。
 こちらの世界で魔物を食べるというのはその感覚に似ている。
 ただし、魔物によってはその肉が保存に適していたり、あるいは手を加えることで携帯に便利だったり、魔力を摂取できたりと加工品として優秀な場合がある。
 そのため、冒険者や魔法使いなどの類は、一般人に比べて魔物食への抵抗が少ないことも多い。

 そんな魔物食よりもはっきりと嫌悪を示されるのが『人肉食』である。
 食料として用いられるのは、通常の食卓に並べる ようとなることはほとんどなく、特殊な状況下であることがほとんどだ。
 例えば、閉じ込められ飢え死にしそうな時など、緊急避難的なもの。
 また例えば、部族の儀式として英雄の肉を取り込むことでその力を得るためだったり、
 あとはまぁ、人肉を食べることに幸福を感じるためだったり…
 
 魔物や人肉以外だと、土だとか宝石だとかを食べるなどもある。
 これは物質に宿るエネルギーや栄養素を得ようという試みから行われたもので、時代によっては強い嫌悪があった。
 だが後期では、最初の方に触れた『魔工』により、ふりかけのようにして食べる土がうまれたり、宝石からエネルギーだけとりだして食材に移した果物ができたりと、食材や調理法が広まるにつれ、食卓での権 利を獲得していった。
 もちろん、普通の食材に比べれば抵抗を持つ人がいたのは確かだが。


―終わりに

 人は生きるために食べるのか、食べるために生きるのか?
 そんな疑問を浮かべた学者もいた。
 多くの者がその疑問にそれぞれの答えを出したが、残念ながらすべての者が納得する答えは生まれていない。
 しかし今日も、どこかで食料は生まれ、料理はできあがる。

 だとしたらアナタは、その料理が冷める前においしく頂くことを選ぶだろうか?
 それとも、料理が冷めようとも答えを求めるだろうか?

 そしてもし、あなたが『食べる』ということを必要としない人だったとしたら…
 はたして人はなんのために生きると思うか、ぜひご意見をお伺いしたい 。

 では、本日はこのあたりで。
 それでは。

ヴォイニッチ ~空~

『はじまりはじまり』から『おしまい』まで、
 パンドラ童話集のあれやこれやに関する情報を収集している私、名前はヴォイニッチ。

 本日ご紹介するのは、『空』について。


―パンドラ世界の空事情

 パンドラワールドにおいて『空』とは、地上より上からはじまり、みなさんの世界でいうところの宇宙と呼ばれる領域までの間を指す。
 そんな空は、地上から一般的な山脈程度の高さ…または雲が発生するあたりを境に、下と上で大きな違いがあらわれる。

 空の上方には目に見えない力…魔力や気などとよばれているエネルギーの流れが、渦潮のように流れ、ぶつかり続けている。
 この流れにより発生する強風や衝撃は、ただそれだけで下手な魔法よりも強い力をもっており、雷が落ちる原因の1つでもある。
 この力を超えられるものはほとんどなく、生き物が空へ羽ばたくための、または宇宙へと至るための大きな障害となっているのは間違いない。

 が、この魔力と風は別の側面ももっている。
 空へと登ってきた水蒸気や塵などがこのエネルギーと反応して雲ができているのだ。
 雲はほどよい雨を降らしたり、ほうっておけば広がり続ける水滴を集めることで日光を地上に送ったり、逆に適度な日陰を提供する。
 そして風が雲を運ぶことで、世界のあちこちに雨と日光と日陰がいったりきたりするわけだ。

 このように、非常に重要な役割を持つエネルギー層。
 前述の通り、一緒くたに語れば上も下も空ではあるが、よりわけて語ることもできる。

 エネルギー層溢れる上層を『高空』、
 それよりも下が『低空』である。


―空と生き物

 基本的に、高空は生き物が住めるような環境ではない。
 しかし例外はある。
 例えば、古い時代において神と呼ばれたものや、その眷属。
 彼らはその力をもって自由に空と地上を行き来したし、場合によっては空の力を利用することもあった。
 天気や空にまつわる神や、いわゆる天使と呼ばれるようなモノたちが有名どころである。

 高空に含まれる範囲の中でも、比較的穏やかな流れを保っている場所や時期を狙えば、鳥族や猫族などの獣人族も高空に姿をみることもある。
 ただしこの場合は住むではなく、敵の少ない移動ルートとしての一時的な活用がほとんである。
 移動しているのは確かだが、移動の途中を発見されない渡り鳥などが代表例。
 また、人間族の中でも、古い時代の魔法使いには高空を飛べるものがいたという。

 そしてそれらの姿は、やがて御伽噺と同じような扱いへと…
 発見も再現もできない姿へとかわっていくことになる。



―人間、空への挑戦

 時代が下がるにつれ、人は空から遠のいた。
 魔力も、それにかわる技術ももたない人間は、空に辿り着く力を失っていたからだ。
 だが、憧れは残り続けた。
 ある者は地底を、またある者は深海を目指したように、空を目指すものものがいた。

 彼らは空へ至るための道を追い求めた。
 失われた空を飛ぶ魔法を再度編み出そうとした。
 空を飛ぶ乗物を生み出し改良し続けた。
 雲を突き抜けるほど高い山をその足で登り続けた。

 どの道も、楽な道ではなかった。

 失われた技術は、みつけるだけで人生が尽きることもある。
 よしんば見つかっても、技術を生かすだけの魔力がないことも多々あった。

 乗物の多くは、地を離れることすらできなかった。
 離れたとしても、多くが再び地面に引き戻され、そして瓦礫となった。

 地面から伸びている道を歩くだけとはいえ、山登は時に命をかける冒険となる。
 空と風と魔力だけではなく、獣に大地に飢えにと、障害が尽きることはなかった。

 それでも、彼らは諦めなかった。

『空へ』

 研究と研鑽は人を超え、時代を超え、繋がり続けた。
 1人でだめなら10人が、
 10人でダメなら100人が、
 そして、時も同じ。

 それらがやがて実を結ぶ時が来る。
 それは歴史の後半、
 一度は滅びかけた文明が力を取り戻した復興期より後、
 空に『飛行船』や『飛空挺』とよばれる乗物が行き交う時代がやってくるのだった。



―空の乗物

 さてここで、空を行く乗物で代表的なものをあげよう。

 1、気球
 2、飛行船・飛空挺
 3、飛行機

 どれも、みなさんの世界にあるものと基本はそう変わらない。
 ただし皆さんの世界にある『ジェット機』や『ロケット』などと呼ばれるものはこの世界には存在しない。 
 理由は1つ。
 安定して飛べるのは『低空』に限られたからだ。

 後世でも高空を飛べるような乗物は基本的には完成せず、高度1万メートルもの上空を飛ぶ必要がある飛行機などは空想の物でしかなかった。
 パンドラ世界で飛行機と呼ばれる乗物は、低空を飛ぶ小型の(大きくても10人程度)の指し、速度や戦力としての研究はされたが大型化はされなかった。

 かわりに、気球、飛行船、飛空挺は発展を続けていった。
 ガスを利用した単純なものだけではなく、魔力を利用した推進装置を取り付けたものや、居住区や商店などまで備わった巨大なものなど様々なものが作られた。

 それらに利用されたのは、悩まされ続けた高空のエネルギー。
 地上よりも多くのむき出しのまま放置されたエネルギーに目をつけたのだ。

 なお、この考えを利用した道具が『神魔期前』頃には誕生している。
 とある国の姫が作り出したソレは『伝書箱』などと呼ばれたものだ。
 気球などと比べるとはるかに小さい、名前の通り手で持てる程度の箱だったが、それは確かに空を飛んだ。
 箱に取り付けられた羽状の部品が、空の魔力と風を原動力に羽ばたいたのだ。
 そしてこの箱は郵便機能の一部として利用され続けた。



―空の整理

 地上を行くよりも障害物が少なく、海を行くよりも抵抗の少ない空は、移動に適した場所だった。
 だが、それ故に衝突も多かった。
 特に伝書箱が飛空挺にぶつかり、送ったはずの郵便物が届かない…なんてことが、空の交通の黎明期には良くおきた。
 そこで、世界の共通ルールのようなもの生まれ、そこから新しい空の区分が生まれた。

 元々『低空』とよばれていた空を、さらに二つにわけたのだ。

 高空からエネルギーを供給しなければ維持が難しい飛行船や飛空挺が行き交う、低空の中でも上方を『中空』と定義した。
 そしてその下…中空の下をもともとの『低空』という呼び方で呼び、そこを伝書箱などが行き交った。

 飛行機はどちらの中空にも低空にも見られたが、その理由は飛行機の使われ方の1つに『護衛』があったからだ。
 海で言えば、巡洋艦に護衛艦が共に移動するような、
 陸で言えば、馬車に騎乗した兵士が随伴するような、そんな感じである。
 


―終わりに

 さて、そろそろ本日の締めへと入ろうと思ったがそのまえに、ウソか本当か、空にまつわる話しをいくつか。

 例えば、空にあるという神殿の話し。
 この神殿には『語戦乙女(かたりぐさおとめ)』などと呼ばれる者がいて、地上におりては戦士の魂を集めているのだという。

 また例えば、満月の空を猫と共に歩く少年の話し。
 猫族、または猫と歩く子供の姿は、満月の夜に聞く定番の話である。

 雲の神様と涙の雨を降らす女の子の話もある。

 空…というよりは宇宙に近いが、世界の果ての扉の話も有名である。

 こうしてまとめている瞬間にも、新しい空にまつわる話が生まれているのかもしれない。
 そしてそれはきっと、人間が空に抱いた憧れのせいに違いない。

 それでは本日はこんなところで。

ヴォイニッチ ~魔法と演劇~

おおよそはじめまして、またはお久しぶりで。

 『はじまりはじまり』から『おしまい』まで、
 パンドラ童話集のあれやこれやに関する情報を収集している私、名前はヴォイニッチ。

 本日ご紹介するのは、『魔法と演劇』について。


―魔法芸術

 今回は演劇と魔法というテーマゆえに紹介する程度にとどめるが、芸術に魔法が用いられた例は枚挙に暇が無い。
 それは創り手達のあくなき探究心や想像力、もてなす心、驚かせる心、遊び心、そういったものの現れだろう。

 描いた絵を動かしたい、
 演奏した曲を何度でも聴けるようにしたい、
 創った人形と話がしたい、
 自動で本を執筆させたい、

 おおよそアナタが思うことは、誰かが実現させただろう。
 そしてそれは『演劇』という分野においても然りである。



―魔法と演劇の歴史

 歴史からいってもかなりの昔から…それこそ、神々の時代から、『演劇』には特殊効果として『魔法』が取り込まれていた。
 風の魔法で人物の髪や服をたなびかせたり、霧を生み出しスモークとしたり、声を拡大化する魔法で声量の補助をしたり、幻で背景を付けたり…
 おおよそアナタが『魔法でこんな効果ができるのでは?』と思ったことは、過去誰かが実現したことがあるといっても過言ではなかろう。
 時代によっては『シンプルなセリフ劇=ストレートプレイ』と『魔法効果を用いた劇=マジカルプレイ』と区分されたこともあるほどだ。

 特に、科学や工学の発達が遅れていた神魔期前までは、舞台効果といえば魔法を用いたものが主流だった。
 それこそ、創生の六神…リクドゥ達も魔法を用いた演劇(や様々な表現活動)を行っていた。
 リクドゥを見ていた神がそれをマネ、
 神を見ていた他の生き物がそれをマネ、
 他の生き物を見ていた人がそれをマネ、
 そうして演劇と魔法は共に親しまれ、育っていった。

 転機が訪れたのは、神魔期頃。
 この頃になるとそもそも魔法を使える人物は昔ほど多くなく、卓越したものともなればなお更だった。
 例えになるが、魔法を用いて2時間光を付け続けるというのは、2時間ランニングしろ、というのと同じようなものだと思えばわかるだろうか?
 しかもシーンによってはより駆け足になったり、逆に遅くしたり、山道を登るかのごとく明るくしたりすることもある。
 世の中広い故に、苦もなくできる者もいるだろう。
 訓練すればできるものも増えるだろう。
 だが、絶対数が足りないのだ。世界のあちこちにある劇場全てに、魔法効果を扱える術者がいるほどこの時代の魔法環境はよろしくなかったというわけだ。



―装置としての魔法へ

 魔法効果が難しいとなると、人々は効果を通常のモノに頼らざるをえなかった。
 つまり、明りならロウソクやランプ、ライトなど。
 魔法が伸び悩みによる需要から進歩が始まった科学や工業が、これら効果を支えることとなった。
 そして学者たちが錬金術の流れを汲む『錬式術』や『魔工学』を発展させることで、舞台には再び魔法が戻ってくることとなる。

 昔、風を起こすのは術者…つまり人だった。
 先の時代、風を起こすのは装置…つまり道具になった。

 必要なエネルギーがあれば、魔法ほど難しい技術や卓越したセンスがなくても効果を生み出せる道具が生まれたのだ。
 道具はけして安いものではなかったが、人に比べて『生産』し『配置』しておくことができる。
 術者1人いれば光も水も炎もなんでもできた時にくらべれば不便だが、装置の種類を揃えることで補うことは可能だ。

 世界規模でいうなら、兆しが見えたのは神魔期の終わりごろ。
 本格的に戻ったのは復興期…特に、森林学園都市の影響が大きかったといえる。
 いずれにしろ演劇には、再び魔法が組み込まれるようになった。



―終わりに

 ツールとの出会いは、文化を変える。
 ツールの力が強すぎて文化そのものが終わったり、変わったりすることもあるが、それもまた歴史…

 ただ、どんな歴史の中にだって言えることはある。
 アナタの世界からすればファンタジーな世界の人間達は、ファンタジーな世界にいてもなお、芸術に更なる夢を求め、願いを込めたのだ。
 それはきっと、アナタが舞台を求めるのと同じような理由で。

 では、本日はこのあたりで。
 それでは。



ヴォイニッチ ~世界の果て~

おおよそはじめまして、またはお久しぶりで。

 『はじまりはじまり』から『おしまい』まで、
 パンドラ童話集のあれやこれやに関する情報を収集している私、名前はヴォイニッチ

 本日ご紹介するのは、『世界の果て』について。


―パンドラワールドの形状

 パンドラワールドの大地は半球…球体を半分で割った形をしている。
 いくつかある大陸のいずれにもいえることとして、陸の終わりからは海が広がっている。
 そして、海の向こうは断絶されており、海水は落下していく。
 君たちの世界でいうところの宇宙のような場所へと…

 厳密な意味での世界の果てとはこの海面が落ちるまでのところをさすが、『世界の果て』という言葉を用いるとき、それは別の意味をさすことがある。
 それは、世界にいくつかある『異世界への扉』のこと。


―異世界への扉

 世界の果てには…
 人が普通に辿り着くことが難しいいくつかの場所には『扉』がある。

 例えば、陸地の東の果て
 例えば、はるか海の底、
 例えば、空の彼方、
 例えば、燃え盛る溶岩の中、
 
 建物などなく、ただ1つ扉だけがそこにある。
 扉の向こうはここではないどこかに繋がり、そこでは永遠の命がもらえるとか、地獄のような場所であるとか、いくつかの噂があるのだが真偽は定かではない。
 なぜなら扉の向こうにいったものは二度と戻ってくることがないからである。

 さらにその扉は一人ではけしてくぐれない。
 誰かがくぐるためには、ほかの誰かが扉をあけていなければいけないため、扉の前には常に一人がいなくてはいけないのだ。

 故に、扉の前ではしばしば順番待ちが行われることがある。
 後から来たものが先に待っていたものを扉の向こうに送るために扉を開けるのだ。
 なぜなら、先にいたものもまた、先にいたものよりも先にいた者の為に扉を空け、自分の番が来るのを待っていたのだから。
 まぁ、勿論…全ての者が順番を守る律儀な性格だとは限らないわけだが。



―扉付近の不思議

 さて、扉そのものも十分おかしな代物だが、実は扉がある周辺の地域にもおかしなところがある。
 場所によって多少の差があるが、例えば陸地の東の果て…
 人間が辿り着けるという意味では、比較的辿り着くのが容易といえるこの扉の周辺では、人が死ねないのだ。
 剣で刺せば傷が元通りになり、腹も空かず、年も取らない。
 つまり、まるで時間が止まったかのような空間になっているわけだ。

 その現象が起きるのが扉のせいなのか、それともそういう場所だから扉が置かれたのかは定かではない。
 ただそのおかげで、到達することさえ難しい世界の果てでも、延々と次の者が現れるまでその場にいることが可能であることは間違いない。



―扉付近の不思議2

 陸地以外の扉で有名な扉というと2つ。

 1つは海底の扉。
 海底の扉は、かつて反映していた亜人の一種『人魚族』が管理をしていたが、ある時を境にその人魚族がいっせいに姿を消した。
 伝え聞く話によると、その人魚族がいっせいに扉の向こうにいってしまったからだという。

 2つ目は、空の扉。
 もはや人の目には見えないほどの遠い空の上のどこかにあるという扉。
 その扉を誰が開けているのかは分からないが、その扉が開いているせいで、星が吸い込まれているのだという。
 時折星の位置や形が消えているのはそのせいといわれており、そのため空に星を打ち上げている亜人『長耳族』の仕事も終わることがないのだそうな。



―終わりに

 誰が置き、何のためにあるのかわからないこの扉。
 しかし、ある者はいう…いつか、この扉が誰の手も借りずにいっせいに開く日が来るのだと。
 そしてその時、ようやく人々は分かるのだ。この扉の意味と、扉の向こう側のことを…と。

 そのある者の言葉が事実かどうか、ここで論議するのはあえて控えよう。
 ただ、いずれにしろいえることはある。

 扉は、間違いなくそこにあるのだ。

 では、本日はこのあたりで。
 それでは。

        
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